中国が仕掛けるハニートラップの手口と事例。

備忘録

ハニートラップとは、女性であることを武器としたスパイ活動。ネットではよくハニトラと略されます。
これを最も得意とするのが中国で、ここではその手口と実際に掛かってしまった人たちの事例についてまとめました。

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元首相・橋本龍太郎の場合

橋本龍太郎

「諸君!」98年6月号によると、橋本龍太郎さんがその中国の女スパイと出会ったのは1970年代末。東京にあるホテルニューオータニのロビー。
若い女性が白いハンドバッグを落とし、すぐ近くにいた橋本さんがそれを拾ったことがきっかけで知り合った。

もちろん全部仕込み。
普通の人がただ落としただけならスルーされる可能性が高いので、人目を引く美人だったのは間違いない。
橋本さんの女好きは当時から有名だった。

時は流れ1996年、橋本さんとその通訳となっていた中国人女性との親密な関係が明るみに出る。
マスコミが報じ、国会でも質問されたが説明責任はついに果たされなかった。

後にこの女性は中国公安の情報工作員だったことが判明。
日本からの無償ODAをより多く引き出す任務が与えられていた。

首相にまで上り詰めた橋龍こと橋本龍太郎さん。
20年近くに及ぶ長い付き合いの中で、ODAの増額はもちろん他にも機密が漏れていないと考える方が難しく、それが日本という国家にどれだけのマイナスだったかは考えるだけで恐ろしい。

 

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上海総領事館員の場合

事件の当事者となったのは中国の上海領事館に務める当時46才の既婚の領事館員Aさん。
「公電」という暗号化した電報を使って本国とやり取りする通信担当官だった。

上海には約5万人の日本人が住んでいる。
その日本人目当ての性風俗も盛んで、中心となるのが連れ出し出来る日式カラオケの店。接待に使われることもあるらしい。

2003年6月にAさんと関係があった中国人女性が中国当局により売春容疑で逮捕。(その後に即日釈放)
そこから公安に目を付けられ、唐隊長という人物がAさんに接触。以後連絡を取るようになった。

2004年2月にはAさんの家に怪文書が届く。
唐隊長に相談すると、その2週間後に作成者を逮捕したので安心しろと連絡がきたが、これが全部仕組まれていた事だということは後に気付く。

そしてこの恩を売られて以降、日本側の機密を流すように圧力をかけられるようになった。
その後Aさんはロシアの領事館へ異動が決定。

5月2日、公安部の隊長はAさんに対し「なぜ異動を黙っていたんだ」「領事館のメンバー全員の出身官庁を教えろ」「お前が公電の担当なのは分かってるんだぞ」「我々が欲しがってる情報が何なのか分かってるんだろう」「国家間の問題になるぞ」「仕事を失って家族はどうするんだ」等とおよそ3時間にわたって脅迫

ついにAさんは中国公安に協力することに同意し、4日後の5月6日に改めて会うことになった。

Aさんは6日に会えばさらに高度な機密である暗号の解読システムを要求されるだろうと考え、それをもし漏らしてしまえば今後は日本の動きすべてを中国側に知られてしまうことになると苦慮。

悩み抜いたAさんは遺書を書き、約束の日となっていた6日未明に領事館の宿直室で自殺

遺された遺書には「一生あの中国人達に国を売って苦しまされることを考えると、こういう形しかありませんでした」「日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました」と記されていた。

事件発覚後、日本側は中国共産党政府に「ウィーン条約の義務違反ではないか」と抗議したんだけれども、それに対する中国側のコメントがこれ。

「中国のイメージを落とそうとする日本政府のこうした悪質な行為に強い憤りを表明する」

よくトラブルを話し合いで解決しろって言ってる人たちがいるけど、こんな相手と何をどう話し合えば解決するんだろう。

また2006年8月には海上自衛隊の上対馬警備所に勤める自衛官Bさんが、持ち出し禁止の内部機密をこっそりと持ち出して上海に無断渡航していた事実が判明。
その回数、なんと1年2ヶ月の間に8回も。

しかもその自衛官Bさん、海自内部での取り調べにおいて自殺した領事館員Aさんと同じカラオケ店に複数回出入りしていたことも分かっている。

その後、取り調べを受けていた自衛官もまた護衛艦内で自殺
遺書が無かった為それ以上の追及は不可能になったが、合理的に説明しようとするなら彼もまた中国当局に脅されていたと考える以外にない。

 

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女スパイ側の事情

ハニートラップを仕掛ける側の女性は、公安部などに所属する正規の工作員のこともあれば、民間人のこともある。

例えば上海の事件で舞台となったカラオケ店。
テレ朝の報道ステーションが潜入取材した際の情報によると、店と公安は裏で繋がっているという。

そして売春などで摘発されたホステスに対しては、投獄をチラつかせて客の名刺を提供するよう求めている。

「刑務所へ行きたくなければこの客が買春している証拠の動画を撮ってこい」と言われればホステスは従う他にないだろうし、証拠さえ握ってしまえば後は公安が直接その客を脅すことができるってわけか。

利用されるのはホステスのような夜の女性だけとは限らない。

2011年7月、中国で女優として活動する邵小珊さんは中国版ツイッターと呼ばれる新浪微博でこんな告発をした。

「外交官の息子と付き合っていた私に、中国軍当局はスパイ活動を強要した」
「その命令を拒んだので、2年間ずっと監視や嫌がらせを受けてきた」
「こんなことを書けば明日にでも毒を盛られ自然死に見せかけて殺されるかもしれない」

身の危険を感じてた上での必死の訴えであることがヒシヒシと伝わる。

2011年11月9日の朝日新聞によれば、 邵さんは2003年に軍幹部からスパイになるよう促され、それを断ると盗聴や尾行されるようになった。
2010年には別の幹部から再度スパイにと促されたがそれも断り、その後は監視がより厳しく。

「車にひかれて殺されるぞ」といった脅迫まで受けるようになったので、身を守るために告発したようだ。

みんながこんなに強いわけじゃないので、脅されて言いなりにスパイになった女性も山ほどいるだろう。

 

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妻が女スパイだった場合

1989年6月4日、北京の天安門広場に集まり民主化を要求していた民衆を、共産党軍が一方的に殺戮した天安門事件。
そのリーダーの一人だった学生の劉剛さんは7年間投獄されました。

1996年に釈放された彼は当時まだイギリス領だった香港へ脱出。アメリカ領事館の助けを受けて渡米し、入学したコロンビア大学で博士号を取得した。

ニューヨーク発の中国系メディア大紀元によれば、 劉剛さんは妻である郭盈華さんが中国共産党の軍に所属するスパイだったと自身のツイッターで暴露しています。

彼が郭盈華さんと出会ったのは2007年。
インターネット上で声をかけてきた美人は、自分はアメリカの一流大学卒で大手企業の管理職だと言い、好意を持った彼は実際に会ってみることにした。

結果2人は意気投合し、郭盈華さんは会ったその日に結婚したいと伝えてきたという。

その後結婚すると、郭盈華さんは劉剛さんに様々な制限を課すようになった。
中国民主化活動の会の主催や同胞との交流に強硬に反対したり、銀行口座にあった預金をすべて自分の口座に移して劉剛さんに使えないようにしたりなど。

そんな時、ある集まりで会った人が中国にいた頃の妻を知っており、彼女が共産党軍の関係者だと聞かされる。
民主化活動の仲間を乗せて車を走らせていると、突然エンジンが火を噴いたこともあった。

劉剛さんのツイッターによると、彼は妻の郭盈華さんをFBIに通報。
法廷において彼女は中国軍人であることを認めた、とあります。

「危うく命を落とすところだった」という劉剛さん。
事実、中国の民主化を求めて国外で活動している人たちは他にもいますが、民主雑誌「中国の春」創始者の王炳章さんや中国連邦党の党首・彭明さんはどちらも東南アジアで拘束されて中国へ強制送還。そのまま刑務所へ。
中華養生益智功(中功)の創始者でアメリカに政治亡命していた張宏堡さんは、高速道路上で事故死しています。

何でもアリな国。それが中国。

 

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イギリス国防省の分析

英国メディアのタイムズが2014年11月に報じたところによると、イギリス国防省は中国のハニートラップを非常に警戒しています。

民間企業のビジネスマンや学生として入り込んでいるけれど裏の顔は諜報員、というケースも多い。
諜報員たちは会食や酒の有効性も熟知していて、非常に巧妙にターゲットに近寄り長期的な視点で工作活動を行う。

007で有名な英国の秘密情報部MI6は中国によるハニートラップをイスラム国(IS)以上の脅威と位置付けています。

またMI5はその報告書で、中国の諜報機関が不法行為や性的関係などの弱みに付け込んでターゲットを内通者に仕立て上げていること、北京や上海など大都市のホテルは軒並み盗聴・監視されていることなどを警告しています。

なんせ世界一人口の多い国。日本と比べても約10倍。
ハニトラ要員の美女は何百人も養成されているらしく、当然尾行や盗聴のスタッフなんかいくらでもいるんだろう。

イギリスの新聞ミラーによれば、特にターゲットとされているのが元政府関係者。
まず美女による誘惑を仕掛け、それに乗って来ない場合も別の手で脅すという。

あれ?そういえば日本の元政府関係者、いや関係者どころか元首相で中国や韓国の言い成りかのような発言や行動ばかりする人がいるんだけど……

 

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まとめ

目的を達成するためなら、他国民にも自国民にも一切の躊躇なく圧力をかける。これが共産党による一党独裁体制の中国の怖さであり強み。

もし日本やアメリカのような民主主義国家でこんな事をやれば、バレたとたんに激しい非難が集中し政権は倒れてしまう…!
国民の意見を無視して好き勝手やれる独裁国家だから出来る手法です。

一方で日本にはスパイ防止法すらありません。
例え日本でスパイが活動していることがバレたとしても、「スパイ活動してること」それ自体は罪に問われることがないスパイ天国。それが今の日本。

一刻も早い法整備が望まれます。

また、イギリスのオックスフォード大学が公開した報告書「世界の虚偽情報秩序:2019年版組織的ソーシャルメディア操作目録」(The Global Disinformation Order:2019 Global Inventory of Organised Social Media Manipulation)によれば、中国はこれまで微博(ウェイボー)など国内のソーシャルメディアを戦場とし世論工作を続けてきたが、近年は影響力拡大のため海外にも手を広げ始めたとされる。

同報告書では北朝鮮に常設のインターネット工作部隊があることも指摘されており、世界各国のソーシャルメディアでハッキングしたアカウントなどを利用した世論工作を繰り広げていると伝えた。

 

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